日々トラック運転手は実に様々な荷物を運んでいます。
その積込み場所や荷おろし場所もとても多様で、なかにはちょっと変わった業務も存在します。
私が普段トラック運転手として働くなかで、物流業界でも珍しい『水切り』についてご紹介します。
本記事を書いた人
・小学校教員から転職
・トラックドライバー歴6年(現役)
・小型トラック〜大型トレーラーまで経験
・物流の仕組みに興味がある人
・トラック運転手への転職を考えている人
・トラックが運んでいる物が気になる人
水切りとは
水切りとは港湾作業のひとつで貨物船の積荷を陸揚げ後、周辺の上屋へ運搬する業務。
用語解説
港湾作業
港での作業
陸揚げ
貨物船から積荷をおろす作業
上屋
輸出(船に積込む前)および輸入(船から荷揚げされた)貨物の
一時保管・仕分け・検査・税関手続き行う施設。
一般の倉庫とは異なり、あくまでも一時保管に限られる。
貨物船から陸揚げされる積荷は様々ですが、
・鉄骨
・合板
・粉物(小麦粉など)
が主に水切りで港に揚げられます。
![](https://beaver-66.com/wp-content/uploads/2021/08/水切り.png)
陸揚げの方法は、
1.貨物船に備え付けられたクレーンでトラックに直接積込み
2.クレーンで岸壁に仮置きした後、フォークリフトでトラックに積み込む
この流れが最もポピュラーです。
水切りと呼ばれる理由
貨物船から港に積荷を陸揚げする作業を、なぜ『水切り』と呼ぶのでしょうか。
それは「水との接続を切る」といった意味からきているようです。
「海上=水」として捉えて、このような言い回しになっています。
『水切り』は物流業界の中でも、海上輸送を取り扱う企業で用いられる用語です。
水切りを担う運送会社
先述したように、水切りは港湾作業や海上輸送を取り扱う会社の主導で行います。
そのため水切りに参入するトラックは、
・主導する会社の自社便
・主導する会社との取引がある運送会社
で構成されます。
貨物船の規模や物量にもよるが、一隻の貨物船に対してトラックは10台〜15台の台数で対応する。
トラック1台につき数回、貨物船と上屋の往復を行い船内の荷物を運搬。
![](https://beaver-66.com/wp-content/uploads/2021/08/水切り構成.png)
水切りを主導する主な港湾会社
・日本通運
・上組
トラック運転手にとって水切りは キツい?楽?
港湾業務である水切りでのトラック運転手の仕事ですが・・・
体力的な面から見てかなり楽な内容と言えるでしょう。
楽な理由は3つ
1.待機時間が長い
2.走行距離が短い
3.重機での積込み
1.待機時間が長い
一隻の貨物船から陸揚げされた積荷は、10~15台のトラックが数回往復し近くの上屋へと運搬します。
1台の積込みには3分ほどかかるので、
3(分) × 15(台) = 45分
1回の積込みで自分の順番が回ってくるのに、約45分の待機時間が発生する計算です。
現場の状況次第ではさらに待機時間が増えることも…
待機中のトラック運転手は、車内であれば基本何をしても自由。
読書・スマホなどで時間をつぶす人が多いです。
2.走行距離が短い
水切りで陸揚げされた積荷のほとんどが、周辺の上屋に送られます。
よって走行距離は限定的。
丸1日水切り業務を行ったとしても、走行距離は100kmにも満たないことがほとんどです。
運転で体力を削られない点からみても、水切りはトラック運転手に優しい業務であることがわかります。
3.重機での積みおろし
貨物船から陸揚げされるものは鉄鋼・合板・粉物(小麦粉など)が多く、陸揚げ量が1,000㌧を超えることも珍しくありません。
1,000㌧を超える量を1日~3日で捌く必要があり、トラックへの積込みや荷おろしにはスピードが求められます。
そのためトラックの積みおろしには、クレーンやフォークリフトといった重機を使用。
トラック運転手は体力を使うことがありません。
大型貨物船の岸壁利用料だけで、数十万円/1日
12時間以上の係留はさらに割増料金が発生する。
他にも人件費・諸経費を含めるとコストが膨れ上がるため、1日でも早く終わらせなければならない。
水切りが苦手なトラック運転手の意見
ここまでは水切りの楽な点をご紹介しましたが、トラック運転手の中には
水切り苦手だわー
と言う意見もチラホラ聞きます。
水切りが苦手な人の意見
・待機時間が長く体がだるくなる
・近場を往復するため飽きる
以上の2つが理由で水切りに対して苦手意識があるようです。
最後に
今回は『水切り』についてご紹介しました。
港湾の仕事になりますが、一部トラック運転手は頻繁に従事する業務です。
トラック運転手への転職を考えている人は、
『水切り』という業務があるんだな
程度で認識しておくと良いでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございまいた。
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