トラックドライバーが法律上で1日最大どのくらいの距離を運転できるのかご存知ですか?
一昔前だと体力が続く限り運転し続けるドライバーもたくさんいました。
しかしトラックによる事故があとを絶たず、現在ではトラックドライバーの労働に関する法律がきちんと整備されており、ルールが厳格化されつつあります。
そこで今回は現役トラックドライバーが、
1日に運転できる法律上の最大距離についてご紹介していきます。
- 運送業界に興味があるけど、具体的な仕事内容がわからず不安…
- 今勤めている運送会社の走行距離が長すぎる
こういった人はぜひ本記事を参考にしてください。
トラックドライバーのリアルな仕事の一部を知ることができます。
結論から言うと
トラックドライバーが運転する1日の距離に法律による制限はありません。
距離ではなく『拘束時間』に対して労働基準法の制限が発生します。
詳しく見ていきましょう。
トラックドライバーが1日で走れる最大距離は1,160km
トラックドライバーが運転する1日の距離に対して法律の制限はなく、拘束時間に制限があります。
2022年現在、会社がトラックドライバーを拘束できる時間は1日あたり13時間です。
例外的に、週2回までなら1日16時間の拘束が認められます。
- 原則 13時間 / 日
- 例外 16時間 / 日(週2回まで)
この拘束時間から運転できる距離を算出できますが、もうひとつ注意すべきことがあります。
それは連続運転に対する縛りです。
トラックドライバーは連続して4時間運転した場合、そのあと30分の休憩をとることが義務付けられています。
連続運転に対する休憩も考慮すると、トラックドライバーが1日に運転できる時間は14時間30分です。
高速を法定速度の80km/hで走行した場合、トラックドライバーが1日で走れる最大距離は1,160kmとなります。
これはあくまでも計算上で、実際には道路状況や積みおろしの時間もあるので1,000kmが限界でしょう。
法定速度80km/hは大型トラックの場合。
4tトラックは高速道路の法定速度100km/hなので、単純計算だと1,450kmが最大距離となる。
トラックドライバーが1日で走れる最大距離 平均は720km
1,160km運転できるのは単日に限ります。
というのも、トラックドライバーに対してはさらに、つぎの制限が課せられています。
勤務開始から48時間の間に運転できる時間は合計18時間
つまり先の例だと、14時間30分運転した翌日は3時間30分しか運転ができません。
このことからトラックドライバーが1日に運転できる平均距離は
時速80km × 9時間 = 720km となります。
法定速度が100km/hの4tトラックだと、平均距離は900km/h
トラックドライバーが1日で走れる最大距離 過去の実例
ここまでは計算上の距離に過ぎません。
実際にトラックドライバーが経験した1日の距離をご紹介します。
いずれも大型トラックでの運行データによるものです。
船橋IC(千葉県)〜佐波川SA(山口県)
移動距離 : 961km
運転時間 : 12時間30分
休憩時間 : 2時間
拘束時間 : 14時間30分
体力的にはもう少し行けましたが、サービスエリアの駐車スペースが空いているうちに休憩するため、この距離に留まりました。
船橋IC〜長浜市(滋賀県)〜船橋IC
移動距離 : 907km
運転時間 : 12時間
休憩時間 : 2時間
作業時間 : 1時間
拘束時間 : 15時間
稀なケースですが、条件が揃えば日帰りでもかなりの距離を移動することが可能です。
ただし事故渋滞などで運転時間が延びると、16時間を超えてしまいます。
その場合、労働基準法の観点では8時間の休息を確保しなくてはいけないので、日帰りは厳しくなるでしょう。
どちらのケースも1,000km以内であるため、いかに長距離ドライバーと言えど1日1,000kmを超えることは稀であることがわかります。
トラックドライバーが1日で走れる最大距離 ブラック企業だと無関係
ここまで解説したことは、労働基準法をきちんと守る運送会社に適応される内容です。
運送業界内におけるブラック企業は、労働基準法を無視してトラックドライバーを働かせます。
そのため1,000kmをはるかに超過した運行や、一般道のみで16時間以上拘束するなど、ドライバーの人権をないがしろにする会社も存在するのです。
このようなブラック企業では次のリスクが考えられます。
- 過労がきっかけの交通事故
- 監督署による営業停止処分
- 給料未払い
過労がキッカケの交通事故
拘束時間が延びると、それだけ疲労も溜まるため事故のリスクが高まります。
事故の責任はドライバーにも課せられるため、その後の人生を棒に振ることも。
人の命を奪うこともあり得るトラックドライバーにとって、これは絶対に避けなければなりません。
監督署の営業停止処分
労働基準法に反する運送会社は、いずれ処分を受けるリスクがあります。
- 内部告発
- 交通事故
ドライバーの負担を考えない会社は、過労による事故が発生する確率が高いです。
事故が発生すると監査が入るため、内情が明るみになります。
営業停止になれば、ドライバーに給料を払えないことも起こり得るため、早急に転職しましょう。
自分の身は自分で守らなくてはなりません。1日でも早い行動を。
給料未払い
法律を守らない会社はまともではありません。
そのため業績によっては給料が遅延、最悪の場合は未払いになることも警戒しなくてはなりません。
仮に未払いであっても裁判によって支払い義務を課すことはできます。
しかし、弁護士費用や判決までの長い期間にかかる精神的苦痛を考えると未払いが発生する前に転職するほうが賢い選択と言えるでしょう。
まとめ
トラックドライバーが1日で走れる最大距離についてまとめです。
距離による法的な制限は無いが、拘束時間や運転時間による法的な制限が有る。
原則 13時間 / 日
例外 16時間 / 日(週2回まで)
運転可能時間は2日間中18時間まで
(1日平均9時間)
法律を加味して算出した距離が下記のとおり
【大型トラック】
最大距離 1,160km
平均距離 720km
【4tトラック】
最大距離 1,450km
平均距離 900km
※ただし1日で1,000km以上の運転はかなり稀。
仮に毎日のように1,000km以上の運転を強いられたり、16時間以上の拘束をされる場合、それはブラック企業です。
ブラック企業だと次のリスクが考えられます。
- 過労がきっかけの交通事故
- 監督署による営業停止処分
- 給料未払い
特にトラックドライバーによる交通事故は、命を落とすことはもちろん人の命を奪いかねません。
その後の人生を棒に振る危険があるため、早急に転職してください。
最後になりますが、これから運送会社への入社を考えている人は、本記事にある内容をふまえて会社を選びましょう。
そうすることでブラック企業への入社リスクを抑えることができます。
ブラック企業から転職する場合や、そもそもブラック企業に入社しないためには登録制の求人媒体がおすすめ。
管理が厳しく、労働基準法を守らないブラック企業は掲載できないため、信頼性が高いです。